日本の文化「お花見」が堪能できる桜の名所7選

日本に本格的な春の到来を告げる桜。開花の時期は2週間程度と短いものですが、初桜から満開そして見事な散り際まで、多くの人々が桜の木の下に集い、可憐で儚い花びらを愛でます。


日本で最も多く植栽され馴染み深いソメイヨシノは、1つの枝に大量に花が付く華やかさが魅力の樹種として知られます。毎年3月になると、日本各地のソメイヨシノの開花予想日を線で結んだ“桜前線”をニュースなどで確認し、開花を楽しみにする人も多いでしょう。


桜前線は日本の南部から北上するので、本州の北に位置する東北の桜は比較的遅く開花します。東京や大阪などで桜を見逃してしまったとしても、南北に長い東北エリアでは、南側から順番に長く、楽しむチャンスに恵まれます。花見客を大満足させる桜の名所の中から、特に有名な7スポットをご紹介しましょう。

夜桜の美しさに息をのむ『高田城址公園』(新潟県)

(写真提供:(公社)上越観光コンベンション協会)

徳川家康の六男、松平忠輝の居城として築城された高田城の跡地に造られた『高田城址公園』。約50haと広大な面積を誇り、市街地中心部にある公園としては全国有数の規模を誇ります。園内には復元された三重櫓をはじめ、文化施設やスポーツ施設、外堀をめぐる遊歩道などが整備されています。


『高田城址公園』は桜の名所として全国に名を馳せる存在です。公園を囲む内堀と外堀をはじめその周辺に約4,000本もの桜が咲き誇り、多くの花見客が園内を訪れます。

(写真提供:(公社)上越観光コンベンション協会)

なかでも有名なのは、夜間ライトアップされた夜桜の絶景。桜の花が約3,000個ものぼんぼりの灯りに照らされ、妖艶で麗しい魅力を放ちます。ライトアップされた三重櫓と光をまとった桜、それらがお堀の水面に映る様は幻想的で、その美しさから青森県弘前市の『弘前公園』、東京都台東区の『上野恩賜公園』と並んで「日本三大夜桜」に数えられています。

(写真提供:(公社)上越観光コンベンション協会)

 また昼間の花見では、淡いピンク色の桜が可憐に咲く様子を鑑賞できます。桜のトンネルの下を歩ける「さくらロード」や、残雪が残る妙高山を借景にした錦絵のような景色を楽しむことができるでしょう。

(写真提供:(公社)上越観光コンベンション協会)

 夜間ライトアップが行われる『第99回高田城址公園観桜会』は、2024年3月29日~4月14日に開催される予定です。観桜会期間中は、例年多くの露店が立ち並びます。飲食を楽しみながら桜を愛で、越後の春を満喫しましょう。

雅な花見の宴が開かれる『霞城公園』(山形県)

江戸時代、約235haと東北最大の敷地を誇っていた山形城。その本丸・二ノ丸跡は、現在は都市公園『霞城公園』として整備されています。東京ドーム約8個分という広大な園内には石垣や土塁が現存し、「二ノ丸東大手門」や「本丸一文字門大手橋」などが復原されるなど、往時の趣を取り戻しつつあります。また広い敷地を活用して文化施設やスポーツ施設なども整備され、市民の憩いの場として親しまれています。


『霞城公園』は、春になると約1,500本の桜が一斉に咲き誇り、1年で最も華やかなシーズンを迎えます。日中は東大手門の白壁と桜のコントラストが美しく、日没後は桜花がライトアップされ、重厚な城郭建築物と幻想的な競演は見事の一言。毎年多くの花見客がその絶景に顔をほころばせます。

敷地をぐるりと取り囲むお堀の内側には土塁が築かれ、その土塁の上に桜の木々が列をなして花を咲かせます。最大の見どころは、二ノ丸の正面玄関にあたる「二ノ丸東大手門大手橋」付近。土塁の上からお堀の水面ぎりぎりまで枝を伸した桜が水鏡に映り込み、風情溢れる景色を見ることができます。


大手門をくぐると、山形藩初代藩主である最上義光の勇壮な騎馬像が立っており、騎馬像と桜を一緒にカメラに収められるフォトスポットとして人気です。

二ノ丸を取り囲む土塁に整備された「二ノ丸土塁園路」も、絶好のビュースポットです。1周約2.2kmの園路沿いに桜が密集していて、桜のトンネルをくぐりながら園内を周遊して花見を楽しむことができるでしょう。

『霞城公園』の例年の見頃は、4月上旬~中旬頃とされています。桜の咲き始めから散り始めまで(例年4月中旬頃)は『霞城観桜会』が開かれ、お堀沿いなどの夜間ライトアップが行われます。週末には大茶会と箏曲演奏など、さまざまなイベントも開かれる予定です。

桜並木と蔵王連峰の絶景『一目千本桜』(宮城県)

(写真提供:宮城県観光プロモーション推進室)

 宮城県柴田郡の大河原町と柴田町の中心を流れる白石川堤に、約1,200本の桜が約8kmに渡って咲き誇る名所『一目千本桜』があります。大正時代に植樹された木は樹齢100年を数えるものも多く、1本の木から大きく枝を広げてボリュームのある花を咲かせます。


 満開の時期には清流をたたえる白石川に桜影が映り、はるか彼方に残雪をいただく蔵王連峰を望む、雄大で調和の取れた絶景を楽しむことができます。


 白石川堤の上は遊歩道として整備され、桜を愛でながら散策することができます。散策におすすめなのは、白石川に沿って走るJR東北本線大河原駅~船岡駅区間の約3.5km。終わりのないようにどこまでも続く桜並木に身を置けば、その壮大なスケールを実感することができるでしょう。

(写真提供:宮城県観光プロモーション推進室)

 この区間には「末広歩道橋」「しばた千桜橋」「さくら歩道橋」などの歩道橋が架かり、橋の上から遠方まで続く桜並木を一目で見ることができます。また「末広歩道橋」から徒歩約10分でたどり着く「韮神堰(にらがみぜき)」付近も人気の絶景スポット。涼やかな水音をたてる韮神堰と桜並木、そして蔵王連峰が織りなす素晴らしい風景が広がります。また「韮神堰」から徒歩約8分の距離にある「白石川千桜公園」では、淡紅色の桜と黄色のレンギョウ、紅色のハナモモなどが咲き競う景色が楽しめます。


 散策で歩き疲れたら、電車の車窓から桜を楽しむのもおすすめです。桜の開花期間中、電車が桜並木付近を運行する間は徐行運転をしてくれます。

(写真提供:宮城県観光プロモーション推進室)

『一目千本桜』の例年の見頃は4月上旬から4月中旬頃。開花期間は『令和6年おおがわら桜まつり』が開催され、各種出店や夜桜ライトアップなどが行われる予定です。

日本最大級のしだれ桜並木『日中線しだれ桜並木』(福島県)

(提供:(一社)喜多方観光物産協会)

1938年から1984年まで、福島県喜多方市内の11.6kmを蒸気機関車やディーゼル機関車が走っていた旧国鉄日中線。沿線住民の足として、また物資輸送の要として大きな役割を果たしました。廃線後は跡地の一部が自転車歩行者道として整備され、毎年春になると植樹されたしだれ桜が美しい花を咲かせます。


しだれ桜はJR喜多方駅の西側、徒歩約5分にある遊歩道の入口から植樹されています。全長約3kmにわたり、遊歩道沿いの約1,000本のしだれ桜が咲く様子は圧倒的な美しさ!しだれ桜は滝が流れるような美しい樹形をしていて、その見事な枝に濃いピンク色の花をつけます。満開の遊歩道を散策すれば、まるで空から降ってきた桜色のシャワーに包まれるような体験が叶うでしょう。遊歩道の両側に木が植樹され桜のトンネルになっているエリアもあり、絶好のフォトスポットとして人気を集めています。

(提供:(一社)喜多方観光物産協会)

日本最大級ともいわれる長いしだれ桜並木を歩くと、中間地点に旧日中線で実際に走っていた蒸気機関車が展示されています。今ではなかなかお目にかかれない蒸気機関車を間近で見学できるだけでなく、しだれ桜と蒸気機関車を一緒にカメラに収めることもできます。

『日中線しだれ桜並木』は、4月中旬~下旬頃が例年の見頃となっています。開花時期に合わせて4月上旬~下旬には『喜多方さくらまつり』が開催され、しだれ桜の夜間ライトアップなどが行われる予定です。

高台から望む桜並木が圧巻の『北上展勝地』(岩手県)

岩手県の中央部、北上川が流れる河畔に整備される『北上展勝地(北上市立公園展勝地)』。園内に陣ヶ丘と呼ばれる小高い丘があり、そこから望む景色が素晴らしいことから“展望のきいた名勝・景勝の地”という意味を込めて「展勝地」と名付けられました。


約293haの広大な敷地には桜が約1万本も植栽され、桜の名所として知られています。樹種も約150種と多く、4月中旬頃に咲き始めるソメイヨシノから5月上旬のカスミザクラまで、多種多様な桜花の競演を楽しむことができます。


園内の最大の見どころは、北上川左岸、珊瑚橋のたもとから続く約2kmの桜並木。川沿いに整備された遊歩道の両側に桜が咲き誇り、淡紅色のアーチをくぐりながら散策することができます。桜の開花時期に合わせて『北上展勝地さくらまつり』が開催され、まつり期間中は桜並木の下をノスタルジックな観光馬車が運行。約20分をかけてのんびりと進む馬車に揺られながら、歩く時とは違う目線で花見を満喫することができます。夜にはライトアップもされるので、昼とは異なる幻想的な景色を見ることができるでしょう。


またまつり期間中は、5月5日の「こどもの日」にちなんで、北上川上空に約300匹の鯉のぼりが泳ぎます。川を横断してたくさんの鯉のぼりが風を受けてはためく姿は圧巻!桜並木の遊歩道から見ることができるので、ぜひ川岸にもご注目ください。

さらに、桜並木を高台から一望できる陣ヶ丘もおすすめのビュースポットです。北上川に沿うように咲き誇る桜が、列をなして遠くまで続く絶景を堪能することができます。近景に目を移せば、すぐ近くに花びらが黄色い桜、香りのある桜など珍しい種類も見ることができます。


『北上展勝地』の例年の見頃は4月中旬頃。開花に合わせて『北上展勝地さくらまつり』も開催される予定です(例年4月15日~4月30日頃)。

“東北の小京都”風情豊かな角館の桜(秋田県)

秋田県仙北市角館は、藩政時代の城下町の面影を残す人気の観光スポットです。「武家屋敷通り」と呼ばれる区域は、深い木立と重厚な黒板塀が連なり、当時の武家屋敷や町並みを今に伝えます。


「武家屋敷通り」は桜の名所としても知られます。見どころは、武家屋敷の黒板塀に映える濃いピンク色のしだれ桜。この桜は角館を領していた佐竹北家二代目佐竹義明の妻が京都から輿入れする際、嫁入り道具の中に入っていた3本のしだれ桜の苗木が始まりといわれています。

現在角館町内に花を咲かせる400本ほどのしだれ桜のうち、162本が国の天然記念物に指定されています。しなやかに伸びる枝のつぼみが一斉に花を咲かせる様子は、風情ある城下町を桜色に染め上げ一層雅な趣をたたえます。歴史の薫り漂う角館の桜での観桜をより深く味わうなら、現地で着物をレンタルし、和装で花見をするのも一興。着物を着て人力車に乗り町並みを散策すれば、より一層日本情緒を感じることができるでしょう。


また角館には、もう一つの桜の名所があります。武家屋敷通りからほど近い場所にある、桧木内川堤の桜並木です。1934年、上皇陛下のご誕生を記念して植樹されたもので、現在は桧木内川左岸の約2kmに渡って約400本の桜が美しく咲き誇ります。ゆるやかに蛇行する川に沿って続く桜のトンネルをくぐりながら、小京都に訪れた春を満喫しましょう。

角館の桜の例年の見頃は、4月中旬~下旬頃です。2024年4月15日~5月5日(予定)は『角館の桜まつり 2024』が開催され、武家屋敷通りと桧木内川堤の夜間ライトアップなどが行われる予定です。

日本一の絶景!桜色に染まる『弘前公園』(青森県)

 

(提供:弘前公園総合情報サイト)

江戸時代に築城され、現存する天守や城門、隅櫓が往時の面影を偲ばせる青森県弘前市の弘前城。現在は『弘前公園』として整備され、桜の時期は“日本一”と呼び声の高い絶景を鑑賞することができます。


 “日本一”と評されるのには理由があります。賞賛の的となるのは、園内に咲く52種、約2,600本の桜の花々。園内の桜の木は、他所の桜の木よりも一つの花芽から咲く花数が多く、花びらが幾重にも重なる密度の高い花付きになります。また枝が低い位置で横一杯に広がり、1つ1つの枝に大量に花を付けます。そうしたボリュームのある絢爛豪華な花々によって園内全体が桜色に染め上げられ、圧倒的な美しさを醸し出すのです。この美しさは、弘前市が日本一の生産地である「りんご」の木の管理技術を応用した独自の管理方法と、木々の管理を一手に引き受ける「チーム桜守」の尽力による賜物といわれています。


 『弘前公園』の桜は、園内各所に見どころが多いことでも知られています。必見スポットは、弘前城天守周辺です。現在石垣の修理工事のため仮天守台に移動している天守周辺では、天守と桜、そして背景に岩木山を望む絶好の眺望が楽しめます。

 公園の西の外周を囲む西濠沿いの散策路にある桜のトンネルも人気です。通路の左右に桜の木が立ち並び、満開になると桜色のトンネルの下を歩きながら花を愛でることができます。また西濠は夜間ライトアップもされ、水鏡に桜が映る幻想的な景色も堪能できます。

(提供:弘前公園総合情報サイト) 

さらに公園外周の外濠は、満開時はもちろん桜吹雪や花びらが水面を埋め尽くす花筏の美しさでも有名。他にも、2本の桜の枝が重なって描かれた「桜のハート」がSNSで人気を集めています。

 『弘前公園』の例年の見頃は4月下旬から5月上旬頃で、2024年は4月19日~5月5日まで「弘前さくらまつり2024」が開催される予定です。



桜前線を追いかけ東北を南から北へ旅しよう!

東京や大阪などで桜を見逃してしまったとしても、南北に長い東北エリアでは、南側から順番に長く、花見を楽しむチャンスに恵まれます。気象庁などから発信される開花情報なども手掛かりに、東北の桜を追いかけてみませんか。


※この情報は2023年12月末現在のものです。状況により内容が変更になる場合があります

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  • 夜桜の美しさに息をのむ『高田城址公園』(新潟県)
  • 雅な花見の宴が開かれる『霞城公園』(山形県)
  • 桜並木と蔵王連峰の絶景『一目千本桜』(宮城県)
  • 日本最大級のしだれ桜並木『日中線しだれ桜並木』(福島県)
  • 高台から望む桜並木が圧巻の『北上展勝地』(岩手県)
  • “東北の小京都”風情豊かな角館の桜(秋田県)
  • 日本一の絶景!桜色に染まる『弘前公園』(青森県)

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