一度は見るべき!東北・新潟の絶景紅葉が圧倒的に美しい

9月下旬から11月にかけて、落葉広葉樹の葉が色づき、山や街を美しく染め上げる日本の紅葉。世界各地でも紅葉は見られますが、特に日本の紅葉が美しいといわれる理由があります。


それは、海外の紅葉は単色が多い傾向がある一方で、日本の紅葉は落葉広葉樹の種類が豊富なため赤や黄色、オレンジ、金茶色、さらに常緑樹の緑とさまざまな色彩が混ざり合い、まるで錦絵のような美しさを醸し出すからです。


さらに、雄大な自然が一面紅葉に染まるダイナミックな景色や、日本のノスタルジックな風景が紅葉によって幽玄さを増し独特の世界を作り上げるなど、さまざまなシチュエーションで紅葉が楽しめることも挙げられるでしょう。

特に日本の北側に位置する東北は、金色に光り輝くような黄葉が楽しめるブナの木が多いことに加え、昼と夜の寒暖差が大きく、紅葉がきれいに色づく好条件が揃っていることから、全国でも珠玉の美しさを誇るといわれています。

色鮮やかに染まった東北の野山を愛でる絶景紅葉狩りは、秋だけにしか体験できない特別で贅沢なアクティビティです。

東北屈指の紅葉スポット、鳴子・栗駒山

東北新幹線から車窓の田園風景が素晴らしい陸羽東線に乗り換えてアクセスする宮城県大崎市鳴子。ここには、東北屈指の紅葉スポットと名高い「鳴子峡」があります。


鳴子峡は大谷川の浸食により生まれた大峡谷で、川岸から高さ約100mの断崖が全長約2.5km続きます。岩肌にはさまざまな形の奇岩が立ち並び、そこから生える木々とともに壮大な景観を作り出しています。紅葉シーズンになると深い大峡谷が色とりどりの葉に彩られ、圧巻の景色に様変わり。特に美しいアーチが印象的な大深沢橋と紅葉のコラボレーションは、鳴子峡を代表する景観です。橋の上からも紅葉を眺めることができ、タイミングが合えば陸羽東線の電車がトンネルに出入りする瞬間を見ることもできます。

紅葉狩りの拠点となるのは「鳴子峡レストハウス」。敷地内には見晴台や展望デッキも設置されており、大深沢橋の景色を眺めることができます。軽食やお土産の購入も楽しめ、甘露煮にした栗をまるごと1つだんごに包んでみたらし餡をかけていただく「栗だんご」、数種類のきのこや地元産のだいこんなどを味噌ベースのつゆでいただく具だくさんの「きのこ汁」などのご当地グルメがおすすめです。いずれも紅葉シーズン限定の人気メニューで、時間によっては売切の場合もあるのでご注意を。また、レストハウスを起点とする遊歩道も整備されています。紅葉を間近で体験したい時は、遊歩道の散策を楽しみましょう。鳴子峡の例年の紅葉の見頃は、10月下旬から11月上旬頃です。


鳴子峡から北へ向かうと、宮城県、岩手県、秋田県の三県にまたがる標高1,626mの栗駒山が現れます。高山植物の群生地で夏は一面の花畑になりますが、秋は全山が燃え立つような美しさの絶景紅葉に染まります。山全体にカエデ、ドウダンツツジ、ナナカマドなどの落葉樹木が多く生えているため、極彩色の大パノラマとなるのです。


栗駒山には、初心者から上級者まで楽しめる登山コースが9つあります。宮城県側に6つ、岩手県側に2つ、秋田県側に1つあり、特に多くの登山者に親しまれるのは、最短距離で山頂が目指せ、標高差が少なく初心者も登りやすい宮城県側の中央コースです。登山中、なだらかな斜面に身を置いてぐるりと紅葉を見渡す体験は、まさに感動の一言。さらに山頂からは、晴れると鳥海山、月山、朝日連峰、飯豊連峰、船形山脈と壮大な景色が広がり、眼下には山肌が赤、黄色、オレンジ、緑のグラデーションに染まる全山紅葉が迫ります。栗駒山の紅葉を「神の絨毯」とも表現しますが、その異名にも納得の美しさでしょう。


宮城県側から栗駒山にアクセスするには、東北新幹線くりこま高原駅から車での移動になります。紅葉期間中は、休日限定でくりこま高原駅~登山中央コースの登山口となる「いわかがみ平」を結ぶ特別アクセスバスが運行し、予約不要で乗車することができます。栗駒山の例年の見頃は、9月中旬から10月中旬頃です。

鳴子・栗駒山の紅葉狩りの際、合わせて体験したいのが温泉です。鳴子には、鳴子・東鳴子・川渡・中山平・鬼首と、5つの特色ある温泉地があります。日本に湧く11種の泉質のうち9種も揃う全国的にも珍しい温泉地で、1ヶ所で複数の泉質が楽しめる温泉地もあります。また栗駒山には、岩手県側に希少な強酸性泉の湯が湧く須川高原温泉、秋田県側に同じく強酸性泉の須川温泉、宮城県側には「いわかがみ平」から近いくりこま高原温泉郷など複数の温泉地があります。場所によっては絶景紅葉を愛でながら入浴を楽しめる温泉もあり、日本情緒をたっぷりと味わうことができます。

絶景紅葉の中を走る秘境ローカル線「JR只見線」

(第一只見川橋梁 撮影 星 賢孝)

福島県の会津若松と新潟県の小出の間、全長約135kmを結ぶJR只見線は、景観が美しいことで全国に知られるローカル線です。車窓からは、沿線を流れる只見川や雄大な山々、河畔の集落といくつもの鉄橋・トンネルなどが織りなす、秘境感たっぷりの景色を楽しむことができます。その車窓からの眺めもさることながら、豊かで美しい自然の中を列車が走る光景の美しさも大変有名で、その瞬間をカメラに収めようと、国内外から多くのカメラマンが沿線に集います。


只見線には多くのビュースポットがありますが、中でも最も美しい絶景ポイントとされるのが、会津桧原駅と会津西方駅の間にある第一只見川橋梁です。ナラやカエデ、カラマツが茂る渓谷が赤や黄、緑の美しいグラデーションに彩られ、そこにかかる鉄橋を列車がゆっくりと通り過ぎていきます。

(第一只見川橋梁 撮影 星 賢孝)

この景色を絶好の角度で見学できるビューポイントまでは、遊歩道が整備されています。三島町にある「道の駅 尾瀬街道みしま宿」のすぐ横が遊歩道の起点となっており、約10分でビューポイントに到着できます。ビューポイントには時刻表が用意され、列車がいつ橋梁を通過するか分かるようになっているので、紅葉と列車が織りなす光景をタイミングよく撮影することができます。遊歩道起点の道の駅までは、会津宮下駅から三島町営バスでアクセスすることができます(要予約)。


橋梁の絶景は、列車に乗って楽しむこともできます。会津若松駅方面から向かう際は、会津桧原駅を発車後、約2分後に第一只見川橋梁に到達します。列車が川を渡る間は、すべてが絶景ポイント。車窓から見える只見川と紅葉のパノラマビューを楽しみましょう。小出駅方面から向かう際は、会津西方駅を発車後、約1分40秒で橋梁に到達します。


第一只見川橋梁ビュースポットに向かうため会津宮下駅で下車した際に、合わせて見学していただきたいおすすめビュースポットがあります。会津宮下駅から徒歩5分の展望スポットから見学できる、「宮下アーチ三橋(兄)弟」です。ここは、アーチ橋が三重に架かる国内唯一のビュースポットとして知られています。最も高いところに架かるのが、国道252号線の新宮下橋。真ん中が只見線の大谷川橋梁。下段が県道237線の宮下橋です。里山の紅葉と3つのアーチ橋が描く希少な光景を、ぜひカメラに収めましょう。

(宮下アーチ三橋(兄)弟 撮影 星 賢孝)

さらに只見線沿線には、会津西方駅から国道400号を約400m進んだ場所にある第二只見川橋梁、会津宮下駅-早戸駅間の国道252号線沿いにある第三只見川橋梁、会津水沼駅と会津中川駅の間にある第四只見川橋梁など、紅葉と橋さらに列車が織りなす絶景が見られるスポットがあり、“絶景の秘境ローカル線”の名にふさわしい見事な光景を見ることができます。只見線沿線の例年の紅葉見頃は、10月下旬から11月上旬頃です。


只見線のようなローカル線での途中下車の旅では、次の列車までの待ち時間はつきものです。そこで、駅付近で待ち時間を楽しく過ごせるスポットをご紹介しましょう。

(第四只見川橋梁 撮影 星 賢孝)

第一只見川橋梁ビュースポットに向かう際に下車する会津宮下駅付近には、観光案内所兼休憩所の「観光交流舘からんころん」があります。ノスタルジックな古民家を改装した建物で、館内では地元特産品の販売やカフェも営業しています。観光案内所もあるので、近隣の観光スポットについて質問することもできるでしょう。電動アシスト付きレンタサイクルの貸出場所にもなっているので、自転車を借りて近隣を散策するのもおすすめです。


また第一只見川橋梁ビュースポットへ向かう遊歩道の入口には「道の駅尾瀬街道みしま宿」があり、観光客の休憩ポイントとして賑わっています。食堂では会津地鶏の親子丼や会津産そばなど、地元の名物を味わってみましょう。会津桐製品や山菜などの特産品を購入することもできます。

山全体がパワースポット。弥彦山で紅葉狩り

越後平野のほぼ中央部にそびえ立ち、平野のどこからでも見通せるのが弥彦山です。自然林が多く残る弥彦山は、秋になると山全体が色とりどりの紅葉に染め上げられます。


山の麓には越後一宮「彌彦神社」があり、山頂は奥宮として彌彦神社の祭神と妃神が祀られています。古くから信仰の山として敬われている弥彦山は、現在も山全体が神域となっている新潟屈指のパワースポットなのです。


弥彦山の標高は、東京スカイツリーと同じ634mです。弥彦山の頂上を目指す方法は、登山、ロープウェイ、車(弥彦山スカイライン)の3つがあります。登山で目指すには、JR弥彦駅から徒歩約15分、彌彦神社の拝殿脇にある表参道登山口から出発し、初心者でも1時間半ほどで登ることができます。山道はきれいに整備されて比較的歩きやすく、子どもの登山デビューにもぴったりです。


ロープウェイを使う場合は、山麓の駅を出発して九合目の弥彦山頂公園に到着します。移動中は雄大な越後平野と山々、そして普段とは異なる目線で紅葉を楽しむことができます。約5分の空中遊覧を経て山頂公園に到着したら、徒歩で山頂を目指しましょう。

なお弥彦山頂公園には、回転式展望塔「パノラマタワー」があります。展望室が回転しながら高さ100mのタワーを昇降するので、360度の大パノラマを楽しむことができます。日本海を望む展望レストランもあるので、休憩にもぴったりです。

公園からしばらく登ると、彌彦神社の御神廟が祀られる山頂に到着します。無事登頂したお礼も兼ねて、手を合わせてから下山しましょう。


弥彦山散策と合わせてぜひ訪れたいスポットといえば、やはり彌彦神社です。創建から2400年以上の歴史を有するといわれる越後一宮で、約4万坪の広い境内に荘厳な造りの拝殿などが建ち並びます。紅葉シーズン中、境内では全国随一の菊花展覧会と名高い「弥彦菊まつり」が開催されます。神社の参拝はもちろん、大輪の菊の花も鑑賞してみましょう。

弥彦山の東側の麓には、彌彦神社の参拝客が宿泊する温泉街として古くから栄えた弥彦温泉があります。その温泉街の中心部にあるのが、複合施設「おもてなし広場」。弥彦村で採れた農産物を販売する直売所、旬の地元産フルーツを挟んだフルーツサンドやレトロかわいいクリームソーダといったスイーツショップなどが軒を連ねます。紅葉狩りの後のリラックスタイムに、ぜひ足を運んでみましょう。

弥彦山の紅葉の見頃は、例年10月下旬から11月中旬頃となっています。

東北・新潟にはわざわざ行きたい紅葉の名所がある

秋の気配が深まるごとに、紅葉は標高の高い山々から静かに、そして色鮮やかに平野や街の中へと広がっていきます。全国でもいち早く紅葉が楽しめる東北の中でも、特に山に登ったりローカル路線に乗ったりと簡単にはたどり着けない場所には、その場でしか見られない絶景と感動が溢れています。わざわざ見に行きたくなる東北・新潟の絶景紅葉の価値を、ぜひ確かめてみませんか。

紹介したスポットをマップで見る

  • 東北屈指の紅葉スポット、鳴子・栗駒山
  • 栗駒山
  • 弥彦山

GoogleMapは、表示回数に制限のある無料枠を使用して掲載しております。
状況により閲覧できない期間が発生することがありますので予めご了承ください。