かつて日本一の大地主とされた本間家。その繁栄ぶりは「本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に」とうたわれたほど、殿様よりずっと上の財力を誇っていました。本間家旧本邸は、本間家が幕府の巡見使一行を迎えるための宿舎として藩主に献上した武家屋敷です。武家造りと商家造りが一体となっている建築様式は、全国的にも珍しいもの。
玄関の屋根に覆いかぶさるように生えている「門かぶりの松」も見どころのひとつ。「奢り高ぶらず、常に低姿勢でいなさい」という本間家の精神を表しています。 風砂の被害に悩まされていた人々のために私財を投じてこの地に松林を定着させたり、凶作時の農民の仕事を確保するべく手入れが必要な屋敷や庭園を造成したりと、地元に貢献した本間家の質実剛健な精神を象徴するかのようです。
例年2月下旬~4月初旬、このエリアでは「酒田雛街道」と呼ばれる展示イベントが開催されます。古くから大切に受け継がれてきた由緒ある「雛人形」などを期間限定で一般公開するもの。この「本間家旧本邸」や「本間美術館」での展示もありますので、お見逃しなく。