戦国の名将・上杉謙信の居城として広く知られている「春日山城」は、複雑な自然の地形を利用した堅固な城塞から、難攻不落な天下の名城と言われました。現在も空堀や土塁などが数多く残っており、日本百名城にも数えられる国指定史跡です。築城の時期についてはよくわかっていませんが、南北朝時代(約600年前)には既に存在していたといわれています。ただ、現在見られるような広大な城に整備されるのは後のことで、上杉謙信・景勝と堀氏によるものと考えられています。
現在も、空堀(尾根を掘って作る人工的なくぼ地)や土塁(土を盛って作った障壁)、大井戸など山城の特徴が残っています。屋敷や空堀が展開する山の裾野に、延長1.2kmにも及ぶ堀と土塁で総構(防御のため外周を囲った日本の城郭構造)が築かれている点が大きな特徴です。中世から近世へかけての築城法の移り変わりを一つの城跡で探ることのできる遺例として、全国的にもめずらしい大変貴重な遺跡です。
上杉景勝が会津へ移った後に越後を支配した堀氏は、1607年(慶長12年)に新たに築いた福島城に移り、春日山城は廃城となりました。