突き出した小島に朱色の橋が架かり、五大堂が佇む姿は、松島を象徴する風景です。松島湾を望める絶景スポットでもあります。
公卿・武官だった坂上田村麻呂が807年に毘沙門堂を建立したのが始まりで、828年に慈覚大師円仁が五大明王像を安置したことが名の由来となりました。五大明王像は秘仏とされ33年に1度だけ扉が開かれます。
現在のお堂は、高名な戦国大名である伊達政宗が造営したもの。屋根の下、蟇股には4方向それぞれの干支が彫られ、16世紀後半から17世紀初頭にかけて発展した桃山文化の要素を見ることができます。東北地方最古の桃山建築として、国の重要文化財に指定されています。
「透橋」では足元の隙間から下の海が見えます。参拝するにあたり「気を引き締めるため」このように造られたとのこと。現在は歩きやすいよう縦の板がはられていますが、かつては、はしご状でした。
円仁が延福寺(現在の瑞巌寺)を開いた際、五大明王を安置したところ、坂上田村麻呂が祀った毘沙門天が、ある夜、光を発して沖合いの小島に飛び去り、 その島が毘沙門島といわれるようになったという伝説も。
そんな伝説を思いながら、湾に浮かぶ島々を眺め、瑞巌寺とともに巡るのも面白そうです。