八戸えんぶりは、青森冬の三大まつり、みちのく五大雪まつりに数えられる、八戸地方を代表する民俗芸能です。鎌倉時代初期に、甲斐の国(現在の山梨県)から県南地方に来た南部氏の家来たちが始めたとされ、約800年以上もの歴史を誇ります。その年の豊作を祈願し、春を呼ぶ祭りとされており、「太夫(たゆう)」と呼ばれる舞手が、馬の頭の形を象った華やかな烏帽子を被り、頭を大きく振る独特の舞が特徴です。その舞は、種まきや田植えなど稲作の一連の動作を表現していて、力強く、勇壮な姿が印象的です。太夫の舞の合間には、子供たちによる「喜び舞」、「大黒舞」などの可愛らしい祝福芸が披露され、見る者を楽しませてくれます。毎年2月17日~20日に開催され、30組以上のえんぶり組が八戸市中心街のほか、市内各所でえんぶりを披露します。夜、かがり火を焚いた中での太夫の舞はさらに幽玄で、特に国の登録有形文化財「更上閣」を会場とし、お屋敷の旦那様気分で鑑賞できる「お庭えんぶり」は人気があります。
1979年 国重要無形民俗文化財