久渡寺は、久渡寺山の山中にある真言宗智山派の寺院です。津軽三十三観音霊場の一番札所で、最勝院や百沢寺(廃寺)、橋雲寺、国上寺とともに津軽真言五山の一つとなっています。
「オシラ講」でも有名で、毎年5月15日、16日の大祭には、大勢の人が参拝に訪れます。久渡寺のオシラ講の習俗は、記録作成等の措置を構ずべき無形の民俗文化財に指定されています。
また、久渡寺所蔵の幽霊画「返魂香之図(はんごんこうのず)」も有名です。「返魂香之図」は江戸期屈指の画家・円山応挙真筆であることが判明し、2021年5月に弘前市の有形文化財に指定されました。弘前藩の家老・森岡元徳が妻と妾を相次いで亡くし、供養のため円山応挙に依頼し、その後久渡寺に寄贈したものと考えられています。国内に残るもので公的に真筆と認定されるのは「返魂香之図」が初めてとなります。「返魂香之図」は毎年、円山応挙の妻の命日とされる旧暦5月18日に1時間のみ公開されており、公開日には必ず雨が降ると言われています。