角館のイタヤ細工は、イタヤカエデの若木の幹を帯状に裂いてこれを編み、さまざまなものを作ります。その技術は、寛政年間(1790年頃)に農村におこった副業が、発展したものといわれていますが、はっきりした資料や記憶は残されていません。そのことは純然たる農村の手工芸であることを物語っており、わずかにその発生に素朴な昔話めいたことしか伝えられていないことは、イタヤ細工こそが民俗工芸の典型であるといってもいいでしょう。細工は、細い帯状の材料を原木から得る工程と、帯状のものを編む工程に分かれていますが、そのほとんどが手作業です。カッコベ(腰に下げる魚篭のようなもの)、小ツヅラ等があり、玩具としてイタヤ狐、イタヤ馬などが一般的です。イタヤの持つ白い木肌の素朴さから相まって深い味わいのある工芸品として愛されています。