天台寺は、神亀5(728)年の開山とされる天台宗の寺院です。
新しい寺の候補地を捜すよう聖武天皇から命じられた僧・行基が、八峯八谿(8つの峰と8つの谷)を持つこの山を八葉山(はちようざん)と名付け、桂の木を用いて観音菩薩像を彫り、天皇自らが記した天台寺という額を掲げて開いたと伝えられています。「御山(おやま)の観音」、あるいは桂の木の根元から湧き出ている泉にちなんで「桂泉(けいせん)観音」とも呼ばれた天台寺は、古代最北の仏教文化の地として人々の信仰を集めました。
江戸時代、領主である南部氏からも厚い保護を受け、現在の本堂も万治元(1658)年、盛岡藩主・南部重直公によって建立されたものです。
天台寺は瀬戸内寂聴師が名誉住職を務めていることでも知られています。境内までに至る参道にはアジサイが植えられ、7月の花の見ごろになると林の中に鮮やかに青く咲くアジサイと赤い前掛けを付けた豆地蔵が並ぶ天台寺ならではの風景を見ることができます。
■貴重な文化財の展示 東北鉈彫仏(とうほくなたほりぶつ)の最高傑作といわれるご本尊・聖観音立像をはじめ、本堂、仁王門、木造十一面観音立像が国の重要文化財に指定されています。
■令和2年3月、360年の時を超え「平成の大修理」から竣功となりました。